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「コロナ禍におけるワクチン接種証明書(ワクチンパスポート)の活用」に関する調査研究が日本公衆衛生雑誌に掲載されました

  • ワクチン接種証明書(ワクチンパスポート)の活用に関する意識を調査しました
  • ワクチンパスポートを経済回復のために活用すべきと考えている人は約40%でした
  • 2021年秋の時点でワクチンパスポートの期待や関心は社会全体では高くないことが示唆されました

【研究の概要】

 2021年以降、COVID-19に対するワクチン接種が普及しコロナ禍で打撃を受けた経済活動を活性化するため、旅行や飲食店の利用の際にワクチン接種証明書 (ワクチンパスポート)を活用することが議論されました。本研究ではワクチンパスポートについて、国民が賛同し積極的に活用しうるかについての意識を 明らかにするために2021年9-10月に実施されたJACSIS研究のデータを用いて分析しました。

 まずワクチンの接種状況について分析したところ、27,423人の調査参加者(20-79歳)のうち、「ワクチン接種済み(2回)」が20,515人(74.8%)、 「接種したくない(接種希望なし)」が1,742人(6.3%)でした。ワクチン接種率は性で差がなく、『大学・大学院卒業者』は『高校卒業者』に比べて有意に 接種率が高いことがわかりました。
ワクチンパスポートについて「経済回復のために活用すべき」と答えたのは
「ワクチン接種済み(2回)」群で41.8%
「ワクチン接種済み(1回)」群で35.9%
「接種希望(予約待ちなど)」群で32.4%
「様子を見てから接種したい」群で15.6%
「接種したくない(接種希望なし)」群で12.2%

でした。ワクチン接種に積極的な人ほどワクチンパスポートに肯定的な人の割合が高い傾向があるものの、経済活動の活性化のためのワクチンパスポート活用について  2021年秋の時点で、人々の期待や関心は社会全体では高くないことが示唆されました。

2022年10月から始まった「全国旅行支援」では旅行代の割引を受けるための条件として原則として「ワクチン3回接種証明書または陰性証明」を提示する必要があり、 ワクチンパスポートは社会実装されています。ワクチン接種などCOVID-19の感染対策だけでなく、経済対策においても本研究で示したような実証データを基にした政策の意思決定が求められています。

【発表者】

田中 宏和(国立がん研究センターがん対策研究所予防検診政策研究部)
田淵 貴大(大阪国際がんセンターがん対策センター疫学統計部)
片野田 耕太(国立がん研究センターがん対策研究所予防検診政策研究部)

【掲載誌情報】

日本公衆衛生雑誌(2022年11月28日早期公開)
「新型コロナウイルスワクチン接種状況と接種証明書の活用に関する意識:2021年9-10月の調査(JACSIS研究)」
DOI:https://doi.org/10.11236/jph.22-061

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